公益社団法人 群馬県歯科医師会

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お口の中にできるガン

口腔癌とは

舌、歯肉、上あご、頬の粘膜など口腔内(お口の中)にできる癌です。
口腔内にできるため、食べる・飲む・話す・呼吸するなどといった、口腔の機能が大きく妨げられる可能性があります。
口腔癌は癌全体の2%ほどですが、直接生命に関わる重大な疾患です。

口腔癌を引き起こす要因

  1. 喫煙
  2. 飲酒
  3. 慢性刺激(鋭利なものが常に粘膜を刺激する):例えば、合っていないかぶせ物や詰め物、合っていない義歯、虫歯などで歯が欠けてとがっている場合など。
  4. 口腔内の清掃不良
  5. ウイルス
  6. 栄養不良

症状

初期の口腔癌は強い痛みを伴わないものが多く、口内炎と区別がつかないことがあります。上記の慢性刺激の原因を除去し、口内炎用の薬を使い1~2週間しても口内炎が治らない場合は、注意が必要です。歯肉からの出血や、歯がぐらぐらすることがありますが、これは歯周病との鑑別が必要です。粘膜のただれや赤い斑点、こすってもなかなかとれない白い斑点などにも注意が必要です。しこりや腫れ、舌が動かしづらい、噛みづらい、飲み込みづらい、しびれなどの症状が現れることもあります。

セルフチェック

口腔内は鏡などを使って自分で見ることができます。月に一回くらいは、自分の口腔内をチェックすることをおすすめします。そうすれば、万が一口腔癌を発症しても、早期に発見できる可能性がありますので、大切な口腔機能、御自身の命を守る有効な対策の一つになると思います。

セルフチェックの仕方

  1. なるべく明るい光と手鏡などを用意します。
  2. 上下の口唇をめくり、前歯の部分の歯肉のチェックと口唇の裏側のチェック。
  3. 上あごのチェック
  4. 一方の頬を引っ張り、奥歯の歯肉のチェックと頬粘膜のチェック。
  5. 舌を前に出し、舌の表面のチェックと側面のチェック、舌を上にあげて裏側のチェックと舌の下の粘膜のチェック。

ポイント

  1. しこりや腫れがないか。
  2. 傷や出血がないか。
  3. 赤い斑点や白い斑点がないか。

少しでも気になる症状があれば早急に、そうでなくとも定期的に、かかりつけや最寄りの歯科医院でのチェックをおすすめします。恥ずかしがったり、必要以上にこわがったり、放置することはしないで下さい。
プロの目で見て明らかに異常であれば癌専門の先生のいる病院を紹介します。早期発見、早期治療が非常に大切です。

他の疾患との鑑別

  1. アフタ:口腔の粘膜にできる直径3~5mmの円形ないし楕円形の痛みを伴う潰瘍のことで、一般に口内炎と呼ばれることが多いです。治療はステロイドの軟膏や貼り薬を使用します。通常1週間から10日で治癒しますが、2週間以上治らない場合は癌の可能性もありますので注意が必要です。
  2. 歯周炎:歯牙を支えている歯槽骨という骨がバイ菌により溶かされる疾患です。歯肉が赤く腫れたり、歯牙と歯肉の境目から出血や排膿が認められることもあります。
  3. また、進行すると歯牙がぐらぐらになります。癌でも歯牙がぐらぐらになることがありますので注意が必要です。
  4. 白板症:粘膜にできる、ガーゼ等で擦過しても除去できない白い板状、斑状の病変を白板症といいます。自発痛や接触痛などはありません。5~10%の確率で癌化すると言われています。
  5. エプーリス:歯肉の結合組織、歯根膜、歯槽骨膜由来の良性腫瘍です。その原因は不適合なかぶせ物や詰め物、根っこだけの歯牙、等の刺激が関係しています。また、妊娠の際の女性ホルモンの変調時に発現することもあります。
  6. 紅板症:WHOの診断基準では、臨床的にも病理組織学的にも他の疾患に分類されない紅斑とされています。ほとんどの症例で刺激痛があります。50%が癌化するもしくはすでに癌になっているといわれる怖い病気です。
  7. 扁平苔癬:ほとんどが頬の内側の粘膜にできる幅1~2mmの白い細かい線状で、レース状や網目状のことが多いです。低い確率ですが癌化することがあります。

まとめ

日本における口腔癌の年齢的な特徴は、70歳代が一番多く約29%、60歳代が約27%、50歳代が約18%となり、50歳以上で約80%近くを占めます。性別では3:2で男性の方に多くみられます。高齢化社会の日本では今後さらに口腔癌患者が増えると思われます。口腔癌により重度の障害を負ったり、死亡したりしないようにするには、何と言っても早期発見、早期治療が大切だと思われます。そのため群馬県歯科医師会では県民の皆様に口腔内にも癌ができることを知ってもらい、口腔癌検診を普及させるべく群馬大学医学部病院口腔外科の協力も仰ぎ、今後口腔癌対策に力を入れていく次第です。

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